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Butter Official MV感想(カラーパート) - 色と衣装が描き出す、彼らのストーリー

BTS (방탄소년단) 'Butter' Official MV - YouTube

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※あくまで一個人の感想です(解釈、考察、妄想も多分に含みます)

※以下の記事からの続きです。よろしければこちらを先にどうぞ!

Butter Official MV感想(白黒パート)- 華やか、鮮やか!色の世界への伏線 - 好きなものつめあわせ

 

はじめに:

ButterのMVは、37秒目から曲の終わりまで映像がカラーになります。このカラーパートは、画面内の配色を基準にすると、以下の5幕に大別できます。

  1. カラフル(白黒多め)
  2. カラフル(白黒少なめ)
  3. カラフル(白黒ゼロ)
  4. 白黒
  5. 黄&黒

また各幕の配色と連動して、衣装のタイプも変化します。まとめると以下の通りです。

  1. フォーマルスーツ
  2. カジュアル
  3. ストリート
  4. ジェンダーレス
  5. フォーマルスーツ

で?だから?と思いますよね。いやいや!このMVは色合いと衣装で、各幕のBTSがどんな存在かを表現し、同時にMVの物語を非常にうまく展開して行くんですよ!では、各幕見て行きます。

 

第1幕:カラフル(白黒多め)/フォーマルスーツ

直前のモノトーン映像から、色の世界に切り替わりました。が、画面の配色は白と黒の存在感が強いまま。メンバーもハイファッションなスーツから変わらず、彼らが扮しているのはまだ「キメキメの泥棒さん」ですね。

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第2幕:カラフル(白黒少なめ)/カジュアル

そしてホットケーキとバターの登場を合図に、白黒とカラーの主従関係が逆転する第2幕へ。色の構成比でカラーが勝るようになり、モノクロのスタイリッシュ感が薄まります。

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同時に衣装もカジュアルダウン。JIN氏・j-hope氏は上着を脱いでシャツになり、RM氏・SUGA氏はラフなデザインのジャケットへ。JIMIN氏・V氏・JK氏もカラースーツに着替え、肩の力が抜けた印象に。

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配色と服装の変化が物語るのは何か?まだ泥棒さんな彼らですが、スタイリッシュにキメていた前半よりも「スキ」が見え始めたよ!と伝えてくれているんですね。

 

その「スキあり男」の代表として登場し、MVの物語を動かすのはオレンジスーツのV氏。彼が乗り込むエレベーター、よーく見ると「下り」でして。V氏は下に行こうとしてるんですね。

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でも彼が押したのは、ボタンの並びの中で一番上にある「A」…そう、ARMYです。このエレベーターのボタン、B1~B7・A・BTSロゴ・ARMYロゴなんですよ。もちろんB1~B7はBTSの7人、AはARMYを表しています。

 

で、V氏は下に行くはずが「A」を押してARMYのところに行っちゃって、泥棒さんの正体がBTSとバレてしまう事件が起きるんです。

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ここからは事件が起こるまでの流れが描かれます。まずJIN氏が登場し、「顔くらい隠しなよ!」と言わんばかりにサングラスをV氏に投げ渡すと…

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そのサングラスで顔を隠して、V氏はニヤリとひと笑い。白い光が画面を割りながらそれに重なります。この光はスクープされた時のフラッシュ撮影を表現しており、V氏のおどけた表情が意味するのは「BTSってわかっちゃった?」ですね。

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「内緒だよ!」と口止めするカットも差し込まれ、正体が明るみになったことが強調されます(「やっべ、バレたー」的なひょうきんな表情の方もいますが…笑)

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スクープを受けて、JIMIN氏が「泥棒さんの正体はBTSだよ!」と、記者会見でオフィシャルに発表。

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第3幕:カラフル(白黒ゼロ)/ストリート

JIMIN氏が「紹介するね」とカーテンを開くと、BTSが登場!同時に、白黒はほぼ存在しないカラフルな世界にスイッチします。

衣装も色とりどりですが、JIMIN氏も髪をおろしレインボーカラーを画面に加えます。さらに背景も色の洪水。床は明るいグリーン、壁はベージュと黄土色(意図的にホットケーキ&バター色にしてますね)、ドアやシャッターは朱色ですから。

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カラフルなジャージ・アクセサリー類の系統は、明らかにHip Hopまたはストリートダンス。BTSの「音楽とダンスの原点」を象徴しているのは間違いないでしょう。

背景の体育館?には、撮影機材・照明・録音機器・アンプが点在し、アイドルの仕事を連想させる小道具として機能しています。SUGA氏が歌うバックには、世界中を飛び回るアイドルには欠かせない飛行機をさりげなく見せることも忘れません。

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つまりこの色味と衣装は、泥棒さんの正体を「Hip HopアイドルのBTS」だと描写しているんですね。カラフルなストリートウェアは、泥棒さんの白黒フォーマルスーツと対をなしています。

 

第4幕:白黒/ジェンダーレス

そして、RM氏の登場とともにカラフルな世界は終了。メンバーが人文字で「ARMY」と描く姿が映されます。衣装も背景もモノトーンで統一されているのですが…。

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このMVは、服装がラフになるほど彼らは「泥棒さん」から遠くなり、BTSに近くなる演出の法則があります。でも他の4幕と比べ、ここでの彼らの描かれ方は異質なんですよ。なぜなら衣装はラフになったものの、その方向が「ジェンダーレス」だから。

 

説明しましょう。

直前のパートまで、彼らはいわゆる「男性的な服装」の範囲内で、フォーマル→カジュアル→ストリートへ着崩しています。でも、ここで初めて「男性的」から少し距離のあるフリル、レース、パール、オーガンジー等が施された服になります。JIN氏とV氏のボトムスなんてスカートっぽく見えますし。

 

ステレオタイプな男らしさ」を薄めた衣装。かつこれを着ている時に彼らの支えである「ARMY」を登場させた…この2点から推測すると、第4幕での彼らは「BTSの思想」を体現しているんじゃないでしょうか?それはきっと、既存の固定概念に(ここでは”男らしさ”)臆さない決意と、ARMYと愛情を渡し合う関係でしょう。

第4幕でまとう白黒衣装は「BTSの信念の原点」であり、カラフルなストリートウェアが象徴する「BTSの音楽とダンスの原点」とはコントラストの構造なんですね。

 

第5幕:黄&黒/フォーマルスーツ

MVのクライマックスは、Butterの象徴である「黄&黒」の世界が展開されます。一度はBTSとして実の姿を明かしましたが、泥棒さんに再度変身!「これまでもあなたのハートを盗んできたけど、今度は溶かして頂いちゃいますよ♥」と宣言していますね。

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BTSから泥棒さんに戻ったことは、第1幕の彼らが差し込まれる点からも明らか。第5幕では黄&黒、第1幕は白黒と色味こそ違えど、同じフォーマルスーツ(スタイリッシュな泥棒さんの象徴)ですから。

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MVの中盤でBTSに姿を変えて、終盤で泥棒さん(歌詞にある"a criminal undercover"や”a robber")に戻る。物語が気持ちよく連環しています。

さてここで興味深いのは、最後の最後で第4幕のBTSが再登場すること。第3幕の「Hip Hopアイドル」を体現したカラフルな彼らは出て来ないんですよねぇ。何でだろ?

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その理由をあえて深読みすると、「Butterではこれを前面に出して攻めるぜ!」とBTSが表明しているのでは?と感じます。

「これ」とはキメキメにかっこつけた彼らと、BTSの精神性。前者はスーツ姿の泥棒さんが体現し、後者のシンボルがジェンダーレスな服装のBTSですね。Hip Hopアイドルな彼らは、Butterでは控えめにするとか、裏バージョンで行く的な戦略なのかしら?あくまで妄想ですけど。ふふふ

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まとめ:

かくしてMVは終幕を迎えます。いやあ~白黒パートに続き、カラーパートも楽し過ぎますね!

白黒パートは切れ味抜群のカット割りと、魅力的な白黒画面を作る技術に拍手喝采でした。一方のカラーパートは、色彩と衣装を語り部としてMVを展開させる手腕が冴え渡っています。好き!

 

服装にドレスアップ/ダウンと言う「上下の対比」だけでなく、ジェンダージェンダーレスという「種類の対比」も加える。これにより被写体であるBTSに、泥棒さん/Hip Hopアイドル以外のストーリーがプラスされるんです。秀逸!大好き!

 

ButterのMVは画面内の動きも情報量も控えめで、スッキリしています。画面の作りも「視線の起点は中央」または「中央で画面2分割/左右対称」構造が徹底され、非常にシンプル。

からこそ、色と衣装がとんでもないパワーを発揮するんでしょう。いや逆か。色と衣装が推進力となるよう、逆算して映像表現をシンプルに組み立てたんですかね?

 

まあいいや♥ 作り手&演じ手の愛情と気合が感じられる、非常に楽しいMVでした! 

 

※画像はOfficial MVよりお借りしました。